TOKAJ

 

トカイ Tokaj (PDO)
首都ブダペストの北東230kmに位置し、北端はスロヴァキア国境と接する。 ゼンプレーン山脈の裾野に広がるワイン産地でBodrog川(ボドログ川)とTisza川(ティサ川)が合流地点にトカイ山があり、27の町と村から構成され、人口は74,000人。 2002年、スロヴァキアとウクライナの国境に近いハンガリー北東部に位置するトカイの山裾に広がる地域一帯がユネスコの世界遺産に登録された。
専門家の意見ではこの地のブドウ栽培はケルト民族により紀元前から行われていた可能性が高く、13~15世紀にかけて、地下に多くのワインセラーが建設され、現在も醸造、貯蔵に活用されている。

歴史
仏王ルイ14世が「王のワインにしてワインの王」と称したという逸話が有名なトカイワインは、16世紀から、他にもビョードル大帝や女帝エカテリーナ、マリアテレジアなど、多くのヨーロッパの王侯貴族に愛されてきた。
その産地トカイ・ヘジャリアTokaj-hegyalja(2004年にTokajトカイに変更)は、土地の等級と目照の程度によって世界で最初にブドゥ畑が格付けされたワイン産地であり、 (Johnson and Robinson 2013年:258/訳2014:258)。1716年のイタリア・キャンティ(Chianti)、1737年のトカイ、1756年のポルトガル・(Port)が、世界でもいち早く原産地呼称統制を導入地域です。

気候風土

ゼンプレーン山脈の丘陵地帯の麓では年間平均気温は9~10℃、7月には21℃、1月にはマイナス3℃、丘陵地隊 南南東斜面の年間平均気温は13℃。年間降水量は500~700mmで、夏の早い時期に降水は集中します。
1500万年前から600万年かけて火山活動によって作り上げられた土壌は流紋岩、安山岩質凝灰岩、黄土が中心で、この地質の影響により、極めて個性豊かなワインが造られる。
この地域の最南端にそびえる成層大山のトカイ山の 麓がボドログ川とティサ川の合流点で、タルツァル、マード、シャーロシュパタク、シャートラルウーイヘイなどのブドウ畑が広がります。
地形と気候の影響により、秋の日夜の寒暖差に起ち上がる霧が貴腐菌(ボトリティス菌)を発生させ、世界三大貴腐ワインの一つであるトカイワインは生まれます。

主要ブドウ品種

Furmint フルミント、Harslevelu ハールシュレヴェリュ、Sargamuskotaly シャールガムシュコターイ、Kobar コバル、Koverszolo クヴェルスールー、Zeta ゼータ
年間降雨量は640mm、年間平均気温は11.2℃

トカイワインの品質区分について

2013年にワイン法が改定され、現在の等級分けは以下の通りです。
エッセンシア:貴腐ぶどうのフリーランジュースからのみ造られ、残糖度が450g/l以上のもの。
アスー・エッセンシア:以前はアスーの6プットニョシュを超える残糖度のあるもの(180g/l)がこのカテゴリーに当てはめられたが、この等級は2013年に廃止されました。
現在、等級としてはアスーのカテゴリーとなり、生産者の自由でラベルに残糖度が(例えば220g/lと記載されるが、これは義務ではない。

トカイ・アスー:2013年にワイン法が改定され、以前は残糖度に応じて、3プットニョシュ(残糖度60g以上)から6プットニョシュ(残糖度150g以上)まで等級分けがされたが、 改定後、3プットニョシュ、4プットニョシュのカテゴリーは廃止され、残糖度が120g以上のものが“トカイ・アスー”となり、5プットニョシュ、6プットニョシュとラベルに記載することは義務ではなくなった。
ただし生産者が6プットニョシュと記載する際には残糖度は150g以上なくてはならない。
なお、義務ではないが、裏ラベルに正確な残糖度を記載することが出来る。
アスーワインを市場にリリースできるのは、収穫年から3年後の1月1日以降となり、樽熟成と瓶熟成を合わせて3年は変わらずだが、樽熟成の期間は最低2年から18ヵ月となった。
数値的な最低基準:残糖度120g/l、総酸度:6g/l、アルコール度数9%、抽出物35g/l
サモロドニ Szamorodni:とは、“自然のままに”という意味のスラブ語で、エッセンシアやアスー用のブドウの収穫は一粒ずつ摘み取るのに対し、 他国の貴腐ワイン産地と同様に、房ごと収穫したブドウを醸造して造られる。 ブドウの状態(貴腐の割合による)によって辛口になったり甘口になったりする。
辛口のワインはサーラズSzaraz(残糖度9g/l以下)と表記し、甘口のものはもエーデシュEdes表記する。 残糖度が45g/l以上のものがサモロドニ・スイート(甘口)となる。
フォルディターシュForditis:アスー用ワインの二番搾りの果汁にマストを加えて再発酵、熟成させたワイン。
マースラーシュMaslas:英語の“コピー”の意昧。アスー、またはフォルディターシユ用のワインの搾り澱に、 マスト(果汁)ないしはワインを注ぎ、再発酵、熟成させたもの。

種別名の説明

◆エッセンシア:貴腐ブドウを手摘みし、重力によって自然ぷれすされたマスト(果汁)をじっくりとゆっくりと発酵させてつくる。

◆アスー:貴腐化したブドウを手摘みし、マスト(果汁)、又は同じヴィンテージに造られた若いワインの中で発酵させ、オーク樽で18ヵ月以上熟成させる。

◆サモロドニ・ドライ:貴腐化したブドウと健全なブドウを共に収穫し、一緒に発酵させ、オーク樽で6ヵ月以上熟成させる。

◆サモロドニ・スイート:貴腐化したブドウと貴腐化していない、健全なブドウを共に収穫し、一緒に発酵させ、オーク樽で6ヵ月以上熟成させる。

◆フォルディターシュ:プレスした後のアスーのペーストに、マスト、又は同じヴィンテージに造られた若いワインを加えて発酵させ、オーク樽で6ヵ月以上熟成させる。フォルディターシュとは上下をひっくり返すという意味。

◆マーシュラーシュ:アスー又はサモロドニの澱にマスト、発酵中のマスト、又は同じヴィンテージに造られた若いワインを加えて発酵させ、オーク樽で6ヵ月以上熟成させる。マーシュラーシュとはコピーするという意味。

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